不当解雇 その19 【労働契約の基礎の基礎 3 & 期日】

本裁判へ移行した、不当解雇に関する争い。
ようやく第1回口頭弁論期日が定められた。
期日の直前に会社側から書面が提出されると思うので、それまで、特に動きはないことになろう。


とはいえ、会社側のでっち上げの解雇理由については、すでに労働審判手続き中に、でっち上げである旨を反証をあげて抗弁してしまっているので、今後、会社側の採る対応として想定されることは、2つ。


1つは、別の解雇理由をでっち上げること。
もう1つは、最後の悪あがき、ボクに対する人格非難攻撃。
いずれの場合でも、結論(判決)を左右するものではないだろう。


そういえば、サンデル先生の授業、NHKで再放送されてたね。
法律家には、けっこう面白い内容 & ソクラテス・メソッドの楽しさもあると思う。


■ 労働契約の基礎の基礎 3
前回、前々回と、労働契約の基礎の基礎 について、記してきた。
労働者・使用者、双方とも、最低限の知識として、知っていおいて損はないだろう。
今回は、ボクのケースで、会社側がとった、密室での退職強要について、言及しようと思う。
ちなみに、ボクが利用している労働法関連書籍



再度確認すると、不当解雇 その1 【不当解雇通知(即日解雇)】の日記に書いたとおり、ボクのケースは、会議室という密室で、
「お前には解雇事由がある。
 調査会社を使って、調べた。証拠がある。
 解雇されたら、お前の経歴に傷がつく。
 解雇されたくなければ、この場で退職届にサインしろ。」
といった退職強要のやり方。
(もちろん、ボクは、退職する理由も意思もないと拒否した。そしたら、でっち上げ解雇理由で即日不当解雇された。)


このようなケースの法的な問題点としては、
1. 脅迫罪(刑法222条)
 会社の対応は、刑法上の脅迫に該当するおそれがある。
 刑法第222条(脅迫)
 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。



また、ボクは、退職強要で、退職届へのサインを拒否したが、すべての人が断固拒否できるわけではなく、『雰囲気に呑まれてサインしてしまった』というケースも多くあると思う。
その場合の問題点は、以下のとおり。
2. 錯誤(民法95条)
 意思表示に関する錯誤、このうちいわゆる「動機の錯誤」に該当しする可能性がある。
 第95条(錯誤)
 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。

もちろん、『動機の錯誤』の場合は、動機の意思表示が必要になるけど、弁護士の話だと、裁判上、動機の意思表示は厳密には求められない模様。
当事者である会社も、その動機を当然知っているというのがその理由らしい。
なので、動機(すなわち、解雇になりたくないので自主退職しますという旨)の意思表示に関しては、緩やかに捉えられている。


3. 詐欺(民法96条)
 民法の意思表示に関する規程である、詐欺の適用も考えられる。
 第96条
 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

実務上、詐欺が認定されるケースは、ほとんどないらしい。
認定されるとしたら、錯誤で処理されるとのこと。
労働者側の立証も難しいんだろうね。
なお、民法96条の強迫は、認定されるケースも多い。


ここで、民法上、「取消し」と「無効」の概念を考慮する必要があり、それに付随して、法定追認を意識しなければならない。


…続きは次回